療育に活かせる本の紹介 「重症心身障害児の認知発達とその援助-生理心理学的アプローチの展開-」

専門書

このページでは、
私が読んだ本の中で療育に活かせる
おすすめしたい本を紹介します。
今回紹介するのはこちらです。

タイトル:重症心身障害児の認知発達とその援助-生理心理学的アプローチの展開-
  著者:片桐和雄 小池敏英 北島善夫
 発行所:(株)北大路書房

本の概要

重症心身障害を取り上げた本はいくつかありますが、
本書はその中でも生理心理学という
基礎的研究の分野とされている立場から、
重症児の発達援助という実践が書かれています。

その重症児の発達援助の中でも特に少ない
認知・コミュニケーションについて書かれている本です。

重症心身障害児の感覚の知覚や
コミュニケーションの発達段階の解説とそれらに関する研究が
メインに書かれています。

感想

この本は私が学生の時に
指導にあたってくださった先生が紹介してくれました。

それから私が就職して十数年が経ちますが、
重症児者の認知・コミュニケーション発達について書かれている良本には
あまり出会えていません。

今でも時折読み返していて
新しい発見や大切なことを思い出させてくれます。

重症児者と関わる方であれば、
次のような悩みを持ったことが一度はあると思います。

何も反応が無くて困っている(何か分かっていることはある?)
何度もコミュニケーションを引き出そうとしているのに変わらない

そういった方々に対し、生理心理学の視点から研究を行った結果、
分かっていないように見えても実は感覚刺激に反応している
コミュニケーションに関する基礎的な力が経過とともに発達する
という方たちがいる事が明らかになっています。

この結果だけでも、
重症児者に関わる人達にとっては貴重な情報ですよね。

そして私が最も参考になったのは
定型発達の子どものコミュニケーションが発達していく過程が
丁寧にかかれており、その段階に応じた重症心身障害児者への関わりと結果が
書かれている点です。

重症児者の方に関わっていると、
自分のしている療育は適切なのだろうか
療育の内容に根拠を見つけられない
と悩む事が多いのですが、

この本を読むことで、
〇〇さんの発達段階はこのレベルに達しているから、この関わりは有効だと思われる
△△さん
への療育高すぎる水準で分かりにくかったから、もっと土台作りが必要だ
と考える判断材料を得ることができました。

これは私にとって
とても大きな考え方のターニングポイントとなりました。

まだまだ分からない事が多い分野なのですが
療育の根拠を考えながら療育をするという事が
私たちのような関わる職員にとって重要ですし、
何より対象の方に適切な療育が届けられるという点で
大切なことだと思います。

まとめ

重症心身障害児の認知発達とその援助-生理心理学的アプローチの展開-は
重症児者の方々に関わる人であれば誰でも参考になるでしょう。
日々実践されている療育の意味・根拠を見つけるきっかけになります。

是非おすすめしたい1冊です。

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