このページでは、子どもたちの療育に携わる人材を
育成していくために日々学んでいる私が勉強した本を紹介します。
今回の本はこちらです。
タイトル:13歳から鍛える具体と抽象
著者:細谷功
発行所:東洋経済新報社
概要
この本はその名の通り、
具体と抽象を軸にしたものの見方・考え方が紹介されています。
物事を考えるというのは、具体と抽象を行ったり来たりする(往復)する事であり、
具体と抽象の意味と使い方を学ぶ事で、
世の中の成り立ちといった目に見えないものが見えるようになり、
人生におけるものの見方が変わってくると筆者は述べています。
このテーマに沿って、
具体と抽象の基本と応用、実践(勉強への活用)、使用上の注意点に
分けて書かれています。
学校の勉強やコミュニケーションを具体と抽象という切り口で考えているのが
本書の特徴といえます。
感想
この本はまず、中高生向けの分かりやすい文章で読みやすく、
理解しやすいです。
問題を5W1Hで考えた時、
what where when whoは知識を問うもので、
why howは思考を問うものと言えます。
知識を問うものについては、その答えを出すのはAIで代替可能です。
よって、学校のテスト等でこの部分の得点が高い・得意と感じているとしても、
すぐにAIに追い越されてしまいます。
記憶力についてはやはり人間はコンピューターには敵わないでしょう。
知識で代替可能な仕事は、
今後AIが担っていくという時代が来るものと予想されています。
(このブログで紹介している著書 AI vs 教科書の読めない子どもたち も読んでみて下さい)
療育の分野というのは、
AIが取って代わるというのは難しいと思われます。
しかしそこには、「知識が豊富」という人材もさることながら、
子ども達に起きている現象の理由を考えたり、
子ども達に必要な関わりだといえる適切な理由を述べられる力が大切です。
また、理由を述べることができたとしても、
それを具体的な方法として実現可能なものにする事が出来なければ
意味がありません。
つまり、whyやhowで物事を考える事ができる人材が
今後も強く望まれる環境になっていきますし、
そうした人材を育てていく必要があると思います。
繰り返しになりますが、
抽象化の代表例がwhyであり、物事の目的や理由を問う事。
具体化の代表例がhowであり、実現手段を問う事。
この言葉が療育の現場における姿勢と一致すると強く感じます。
現場ではハウツーとしての方法を教わって
それを実践する事で役に立った事が多くありますが、
一方で場面や状況が変わっただけで使えなくなるという経験も多いです。
しかし、そこで「役に立たない・意味のないもの」とするのではなく、
色々試行錯誤したり考えたりする事で得られた
「似ているけれど違う方法」が長く役に立つという印象があります。
この考えて形にする作業こそが、
具体と抽象を往復するという事なのだと気付きました。
whyとhowを使った「思考の流れ」をイメージし
その重要性を説明する上で、
この著書に書いてある事は非常に有益な材料になると思います。
まとめ
著書:13歳から鍛える具体と抽象は、
人材育成において、物事の考え方を伝える大変良い本ですし、
自分自身の思考を整理する上でも有益な1冊です。
興味を持たれた方は、
是非読んでみて下さい。
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