療育に活かせる本の紹介「教室マルトリートメント」

専門書

このページでは私が読んだ
日々の療育に活かせるお勧めの本を紹介します。

今回紹介するのはこちらの本です。

タイトル:教室マルトリートメント
  著者:川上康則
 発行所:株式会社東洋館出版社

概要

この本のタイトルは著者の造語で、
いわゆる「行き過ぎた指導」や、
これまでは当たり前に行われていた指導だけれども
改めて考えると子どもの心を傷つける要素を持つ指導までを、
幅広く「マルトリートメント」としています。

そして学校で行われる教育とは呼べない子どもたちを追い込む指導を
「教室マルトリートメント」としており、
教師のふるまいを前提から見つめ直すとともに、
子どもたちの前で笑顔と穏やかな気持ちを絶やさない教師を増やす事が
本書の目的であると述べています。

この本は教室マルトリートメントの具体例と、
それによる子どもへの悪影響として
トラウマ・フラッシュバックを挙げています。
また、学校の組織風土についてや教職員が受けるストレス、
教室マルトリートメントの予防のための策についても書かれています。

感想

この本には子どもたちにどのような教育を提供するべきかを
考える上で重要な情報がたくさん詰まっています。

この視点は教育関係者だけではなく、
医療や福祉で子どもに関わる全ての職種で役に立つものだと思います。

特に大切だと感じたのは、
子どもを変えようとするのではなく
自分自身の行動から振り返っている点です。

療育の現場はどうしても、
子どもの側に問題があるから
それをどうにかしようとする方法になりがちだと思います。

しかしこの本ではまず子どもに対してではなく、
自分自身を見つめ直すところから始めます。

日々の仕事の中で忘れがちな部分ではないかと思いますので、
私もよいきっかけになりました。

それにこの本は随所に図や表が使われており、
それがきれいにまとまっていて見やすいのも良い点です。

私はメンタルヘルスを理解する「DCSモデル」が
すごく参考になりました。

この本は教室マルトリートメントを減らしていくためには
「こうすればよい」といった単純な方法論で終わっていない点が
むしろ大切な点だと思います。

具体的な策は書かれていますが、
ハウツーで終わるような内容ではありません。

子どもに合う/合わないもありますし、
すぐに効果がでるとも限らないとも明記されています。

それでもしっかり長い時間をかけて取り組むことが大切で、
自分で使いこなせる形にする事だ大切だと述べています。

私もそのように取り組んでいきたいなと思います。

まとめ

著書「教室マルトリートメント」は適切ではない指導と
その対処について自分で深く考えるきっかけになるのが良い点ですし、
考える材料がそろっている本です。

興味を持たれた方は是非お手に取ってみて下さい。

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