女性の自閉スペクトラム症の方にはどういった特徴があるのか? 関連する本の紹介

専門書

はじめに

みなさんは自閉スペクトラム症の特徴として
思いつくものには何があるでしょうか?

ごっこ遊びをしないことが多い
車のおもちゃを並べて見るのが好き

などがあると思います。

しかしこれは自閉スペクトラム症の男児に多く見られる特徴であって、
女児では異なる行動が見られることが多いのです。

そうした行動の違いを考慮されないまま診断がつかずに見逃され、
苦しんできた女性が数多くいます。

今回紹介する本は、
自閉スペクトラム症を持つ女性にスポットを当てて書かれた
数少ない本です。

私自身も自閉スペクトラム症の特徴とされているものが
男性的であった事に気付かず、
知らず知らずのうちにそういうものとして理解していたので、
この本を読んで初めて女性に特徴的な行動に目を向けることが少なかったと
痛感しました。

ぜひみなさんにも知ってもらいたい内容ですので、
次の章からその本を紹介していきます。

本の概要

今回紹介する本はこちらです

タイトル:自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界 幼少期から老年期まで
  著者:サラ・ヘンドリックス
  訳者:堀越英美
 発行所:株式会社河出書房新社

この本では歴史的に見て自閉症は男性の障害であり
自閉スペクトラム症(ASD)における
女性の行動パターンが認知され始めたのは
つい最近のことに過ぎないと指摘しています。

また、女性のASDには当てはまらないことも多い
行動パターンに基づいて診断がさなれている
という現状も問題視しています。

本書はASDの支援に携わる全ての人にとって
ASD女性の幼児期から老齢期までの
行動パターンについての知識を得ること、
女性の症状の複雑さを理解することについて
有用な情報源になる事を目的としています。

この本の著者も、
自身のASDを「女性だし」という理由だけでその診断を疑われ、
かつ「女性である事で症状に違いなんてあるのか」と
医師に信じてもらえなかったという辛い経験をしています。

この不当なつらさ・経験が
本書を執筆する理由になったと述べています。

本書は序章、第1~17章に分かれており、
女性がASDの診断を受けるまでの道のりや、
乳幼児期から老年期に至るまでのASD女性が持つ特徴についてを
当事者の方の体験談を交えながら解説しています。

この本のポイント

私が思う本書のポイントは以下のものです。

1.女性特有の診断の道のりについて書かれている

本書は診断がつく事の意味について書かれており、
そこには男性とは異なる点がたくさんあります。

一部を紹介しますと、
成人になってから診断がつくという事については、
女性は男性以上に安堵感を覚え、
自己を受容できるようになったと語る人が多いとの事です。

幼少期については
臨床医の知識と経験に大きく左右されてしまい、
女性であるという理由で診断が遅れがちです。

しかし家族が適切に子どもの支援を始めるプロセスとして
診断がつくことは重要であると書かれています。

2.ASDを持つ女性特有の特徴について書かれている

やはり何といっても
女性当事者の方の体験談が数多く掲載されているのは
大きな特徴であり重要なポイントだと思います。

女性ASDに特徴的な行動として挙げられているのは、
ASDである自分を隠しており、それが周りの人も分かりにくいという点です。

ASDを持つ女性は男性と比較して
成人するとコミュニケーションの問題が改善する傾向にあります。

しかしこれは、
自身のASDの特徴を隠しながら社会に溶け込むよう
上手く振舞う生活を続けているという可能性が考えられます。

この生活を続けるのは大変なことであり、
何かストレスや予期しない状況になった時に
生活を維持できなくなります。

この点についてはまだ研究が進んでいない分野なのですが、
本書に書かれている体験談では、
思春期は友人関係で苦労してとても暗い時代を過ごしたというものや、
社会人になって「女性らしさ」というものを求められて
何の事だか分からず困っているという話が書かれています。

感想

この本の大きな特徴である
女性ASDの特徴について知ることができたのは大きな価値があると感じています。

幼少期の特徴として男児とは異なる行動であったり、
周囲には分からないように振舞ったりするというのは、
知らないと気付けないなと思います。

私はこの事を普段の療育場面だけでなく、
仕事で出会う人々や日常生活で日々関わる人たちへの
配慮にもつなげていけると思います。

分かりにくいけど困っている人を手助けできるきっかけになりたいと思います。

なので療育に携わる全ての人にこの本を読んでほしいと思いますし、
もし当事者の方で苦しい思いをしている人や
自分の事を知るきっかけが欲しいと思っている人にも
是非読んでほしいです。

まとめ

著書「自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界 幼少期から老齢期まで」
の概要やポイントについて紹介しましたが、
まだまだ紹介しきれない内容がたくさんあります。

興味のある方は是非読んでみてほしい1冊です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました