発達障害のある人が上手く日常生活を送るための術とは? 関連する本の紹介

専門書

発達障害の方は日々の生活の中で色々な困り事を抱えている人が多いです。

例えば

いつも部屋が片付かない
仕事で大事な書類をなくしてしまう
いつの間にか浪費している

困っている人も多いのではないでしょうか。

今は日々の生活に役立つ工夫としてライフハックの本が数多く出ています。
それらはとても参考になる事が多く、
実践している人もたくさんいると思います。

私もライフハックの本を読んで参考になるなと思った部分を取り入れていますし、
困っている保護者や子ども達にも具体的な方法として伝えています。

そんな数あるライフハックの本の中でも今回お伝えしたいのは、
「生活術」に焦点を当てたものです。

日々の生活を生き抜く=サバイバルとして書かれた本を
次に紹介します。

本の概要

今回紹介する本はこちらです。

タイトル:発達障害サバイバルガイドー「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47
  著者:借金玉
 発行所:ダイヤモンド社

この本は発達障害を抱えた人たちが働き、食べていくための
「生活術」をまとめた本になっています。

著者はこの本をサバイバルガイドと位置づけていますが、
木の皮をかじり泥水をすするような状況をサバイバルとは呼びたくないとしています。

本書ではサバイバルを、
よりラクに、より快適に、より優雅に生きられる環境を
自ら作りげていくことであると定めています。

これに加えて、
本書はストイックさを悪徳とさえ考えています。

「自分はまともな生活ができていない」と感じている人ほど、
まるで自分に快適な生活をする権利はないとでもいうような
ある種の自罰性を持っているように思えてならないと筆者は述べています。

この本はそういった方向性を一切目指さず、
「ラクにやる」ことを重視し、
具体的な工夫やノウハウで労力や時間を削減し、
生活を快適にする事を目指しています。

ポイント

この本は何といっても生活のための具体的なハックが
いっぱい詰まっているの一言に尽きます。

本書は8章に分かれています。
内容すべてをお話しすることはできませんが、
その一部を紹介したいと思います。

第1章 生活環境

筆者の経験をもとに、
生活を飛躍的に良くしてくれた5つを厳選して
サバイバルに絶対必要な設備として紹介しています。

この章はまず、
「自分が頑張ればいい、設備投資はしなくていい」という感覚を見つけ出して
可能な限りそれを拭い去ってもらうのが最大の目的だとしています。

働きづめで身体中を壊して
たくさんの治療を受けていた著者が行き着いた結論として、
「いい布団で寝ると健康になる」というものです。

投資効果の高いものとして良いマットレスを買うことを
おすすめしています。

良い寝具を買う余裕はないと思っている方もいると思います。
この点については筆者も言及しており、
身体を壊すと仕事も生活もできなくなり、
大抵は寝具より治療費の方が高くつくと述べています。

筆者おすすめのマットレスの紹介も本書には載っています。

第2章 お金

筆者はこの章で固定費と投資の概念の重要性を述べています。

固定費は家賃や光熱費や通信費といった必要不可欠な経費です。
ここが多い人は今の生活を作り変えるほかありません。

また、コストを削減するにはまずコストをかける必要がある事も説明しています。
例えば自炊を始めるには調理器具が必要です。
こうした投資は巡り巡って節約につながっていきます。

ここでは筆者は毎日・毎月の支払いをクレジットカードにし、
確認できる状態を作るのが良いと述べています。
支出管理のツールとして大変有効です。
面倒ではありますが、頑張る価値はあると述べられています。

第3章 習慣

この章で筆者は
物事には「やるべき事に取りかかるためのハードル」が存在していると述べており、
それをスタートコストと呼んでいます。

そのスタートコストをいかに下げるかが重要で、
筆者は具体的方法として一元化、常時一覧化、省エネの3つを挙げています。

その一環として筆者が勧めているのは「エブリディボックス」と呼んでいるもので、
毎日のやるべき事や先送りにしがちな支払いなどを全て1つのボックスに入れ、
毎日それをのぞくというものです。

これによって筆者はやるべき事務仕事の漏れが劇的に減少したと述べています。

第4章 在宅ワーク

これはコロナウイルス流行による外出自粛のために
在宅ワークを余儀なくされた方に向けて書かれています。

筆者が在宅での仕事が増えた理由はコロナとは異なるのですが、
それによるもっとも大きな問題は、
仕事と日常の境い目があいまいになり、
常に仕事をしているかのような感覚になってしまったとの事です。

そこで筆者はonとoffの切り替えをするために
椅子を用意する事を提案しています。

「そこは休む場所」とあらかじめ決めてしまうのが切り替えには有効です。

第5章 服

ここで重視しているのは

1.いかに自分が不快でない服を選ぶか
2.社会的コードを守る
3.しっかり服を管理すること

ファッションについては非常に分かりにくいものとして
「追わない」立場を取っています。

筆者はある時期に「デザインが良い」、「めずらしい」という理由で
たくさん洋服を買った結果、
服はたくさんあるけれど、どれを着たらよいか分からない
という事態に陥ったと述べています。

先の3つの中で分かりにくいのが社会的コードが
どういうものかというところだと思います。

筆者はここで「型」を持つ事を進めています。
本書では「ジャケット+スラックス」を勧めています。

第6章 食事

筆者は自身がたどりついた真理として、
「滋養のある食事が必要」というのがあるそうです。

料理は面倒です。
しかしこれを身につけていれば武器になります。

その一方でレシピをを覚えるのはとても大変です。
そこで筆者はいろんなものに応用可能な方法を紹介しています。

その中の1つを紹介すると、
味の素と適切な塩で料理は美味しくなるというものです。
筆者は市販のレトルトパスタソースを使った料理で説明していますが、
私も実践しています。

第7章 休息

筆者は人生において最も重要なスケジュールは休息だと述べています。
働かなくても人間は休むことができますが、
休まなければ働くことはできません。

また、休息とは別の概念として「娯楽」の重要性も述べています。
娯楽もまたサバイバルの必需品のひとつです。

筆者は日常の気がかりから完全に離れて完全に心を休める1日を
「完全な休日」と呼んでいます。

ここに必要なのは「自分は何もせず、ぼーっとしているだけで楽しめる」ものを
良質な現実逃避としてすすめています。

できるだけたくさん用意することが大切です。

第8章 うつ

筆者はご自身の双極性障害(躁うつ病)を例に挙げ、
気持ちが落ち込んだ状態から「再起」するための方法として、
「うつや不安を克服する」とか「うつや不安に勝つ」のようなものではなく、
「うつや不安とともに生きる」ことだと考えています。

一部ですが
再起への道のりとして紹介されているものは、
一発逆転のようなマインドからは離れて
1段1mmの階段を少しずつ上っていくことに価値を見出すことです。

また、うつの底にいるときは「何もしない」こと、
本書も読まなくて良いから「横たわって眠る」だけでも
厳しい現状の中で身を縮めて耐えるという行動を完遂したのだと
誇ってよいという事が書かれています。

まとめ

著書『発達障害サバイバルガイドー「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』
に書かれているライフハックを章ごとにいくつか紹介しました。

この本は発達障害の方のために書かれたものですが、
ライフハックは決して特別なものではなく、
みんなが便利に生活するための知恵だと思って活用できると良いなと感じています。

興味を持った方は是非お手に取ってみてください。

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