子どもや施設利用者の困った行動に対処するにはどうしたらよいか? 関連する本の紹介

専門書

子どもの療育をされている方や保護者の方は、
一度は子どもたちの困った行動に悩まされた事があると思います。
例えば、

・欲しいものが買えないとお店で泣き叫ぶ
・そばにいる子を叩いて押しのける
・わざと床につばを吐く

他にも例を出せばキリがないですよね。

こうした子どもたちの行動には
さまざまな理由があるため、
一概に「こうすれば必ず解決する」というものはありません。

しかし、子どもたちの困った行動の理由を知る
ヒントとなる考え方は存在します。

その考え方に照らし合わせていくことで、
子どもたちの行動にはさまざまな意味・意図がある事が
わかるようになります。

意味が分かるという事は
まさに子どもの特徴を理解することにつながるので、
困った行動にも何かしらの対処方法が見つけられると思います。

今回は子どもの困った行動の
理由を知る上で重要な考え方である
「応用行動分析」について書かれた本を紹介します。

ちなみに、職場内で応用行動分析の勉強会をした時に
この本を参考にしたと紹介したところ、
さっそく買って
読んでいる人がいました。
色んな人に伝わりやすい・分かりやすい本だという事が分かります。

みなさんにも是非お勧めしたい本です。

本の概要

今回紹介する本はこちらです。

タイトル:施設職員ABA入門-行動障害のある人へのアプローチ
  著者:村本浄司
 発行所:株式会社 学苑社

この本は、
障害福祉の分野で目にする強度行動障害の方に対して、
集団生活場面に携わる施設職員が援助するための方法として
応用行動分析(ABA)を主体に書かれています。

強度行動障害のある利用者を支援している養護者や施設職員が、
昼夜問わずその激しい行動に対応しなければならないという
状況に陥る事は多々ありあす。

その場合、対応に追われる人たちは
心身共に疲弊してしまい、最終的に支援困難となってしまう事もあります。

こうした集団場面に関わる施設職員であれば必ずといって良いほど直面する
職員を叩く・わざと困らせる事をして注意を引く・外に飛び出すなどの
行動の問題にどのように対処するのかを、

・そういった行動の背景にはどのようなものが考えられるか
・どのように行動を分析するのか(アセスメント)
・支援方法
・具体的事例集

これらが丁寧に書かれています。

本書は対人支援の現場の要点として、
利用者自ら望ましい行動を獲得できるように
日常生活の中に成功へと導くポイントを配置することで
その人を自立に導くという事が書かれています。

本書のポイント

続いて、
この本について私が思うポイントについて紹介します。

問題行動の定義から考えている

利用者や子ども達の困った行動について、
支援者はそれを「問題行動」と表現することがほとんどです。

しかし問題行動という言葉の裏には、
「その人がそのような問題のある行動をするのは、利用者(子ども)本人に責任がある」
という趣旨を含んでいる事があります。

問題行動の定義は、
「その人が示す行動は周囲の環境との相互作用によって生じる問題である」
という意味が含まれており、
「行動の責任を利用者自身には求めない」
という視点が重要です。

この事についてしっかり言及しているのが本書の特徴であり
重要なポイントだと思います。

加えてこの本では、
問題行動のメカニズムを考える上で
周囲の人へのコミュニケーションとしての役割がある事を
重要視しています。

例えば強度行動障害とされている方たちは
自閉スペクトラム症や知的障害の特性を有している事が多く、
話し言葉の遅れやコミュニケーションの困難さがあります。

この場合、
適切なコミュニケーションが困難であるため、
泣く・物を投げる・叩くといった不適切な方法で
コミュニケーションや意志表出を図る事があります。

泣いたり物を投げたりする行動は
周囲に与えるインパクトが強いため、
周りの人は何とかしようと色々と声をかけたり
その場から離そうとしたり
その人が好きなものを与える事もあると考えられます。

こうした関わりは、
時と場合によっては不適切な行動を増加したり、
その強度を強める方向に働くことがあるため、
行動障害へと発展していくというメカニズムがあります。

本書ではコミュニケーションの苦手さを起因として
問題行動が発生することを説明しており、
問題行動そのものがコミュニケーション方法になっている
と述べている点がとても重要です。

具体的支援方法が豊富

先のポイントで述べたように、
問題行動は環境との相互作用によって生じるものと考えられています。

よって本書はその環境をどのように変えていくのかという視点で
対処法が多く書かれています。

問題行動を目にした場合、
多くの人はその行動を減らす・なくす方法を考えることが多いです。

もちろん本書にはそれに関連する内容も書かれていますが、

問題行動を予防すること
問題行動とは違うコミュニケーション方法(代替行動)を得ること

これらもとても重要ではないでしょうか。

この本を見ても
問題行動をなくす(消去する)事について書かれているページ数よりも、
問題行動の予防や
問題行動ではない望ましい行動を獲得するまでの道筋についてが
書かれているページ数が圧倒的に多いです。

そしてこの望ましい行動を獲得するまでの関わり方や支援が
大変具体的で分かりやすいのが特徴です。

そしてこの本はいわゆるハウツー本ではありません。

望ましい行動をどのように獲得するかだけが書かれているのではなく、

・対象の方の行動の機能とは何なのか
・なぜご褒美が必要なのか
・なぜ環境設定が必要なのか

このような問題行動の本質に関わる内容や、
応用行動分析を用いた関わりによってどのような支援をしたいのか
を考える大変良いきっかけになると思います。

感想

この本は養護者や施設職員向けに書かれたものではありますが、
集団場面で療育を行っている方は誰でも参考になる本です。

施設職員、保育士、幼稚園・学校教諭など
みなさん困っている事は対象の方の「行動」の問題であり、
それに対する基本的な考え方や支援方法は
場所によって大きくは変わりません。

この本は行動の問題にどのように対処し、
そして望ましい行動にどのように変えていくのかを知るのに
大変役立ちます。

そして他におすすめしたい点としては、
応用行動分析(ABA)に興味はあるけれど
専門的でとっつきにくいと感じている方が、
最初に読んでみる本としても適していると思います。

応用行動分析では

行動の正/負の強化・弱化
消去バースト
シェイピング

のような日常では聞かない単語が色々と出てきますが、
それぞれの解説や具体例がとても分かりやすいです。

そして私が本書で最も参考になったのは、
ポイントでも述べたように
行動の問題の背景にはコミュニケーションの問題があり、
問題とされている行動はその方のコミュニケーション(発信)の
役割を果たしていると述べられている点です。

コミュニケーションである以上、
情報を発する人とそれを受け取る人がいるはずです。

問題行動の原因を
施設利用者や子ども達だけに求めるのでは
どこかで必ず行き詰ると思われます。

情報を受け取る側も
発信している人がどういった特徴のある人たちで
どのように接すれば伝わりやすい・理解してもらいやすいのか
という視点を持つことが重要だと思います。

コミュニケーションの受け取る側である支援者も
この視点で子どもたちの事を理解するのが大切だと
改めて強く感じました。

まとめ

施設職員ABA支援入門-行動障害のある人へのアプローチは、
施設職員の他にも集団で療育・支援を行っている方であれば
是非読んでほしい1冊です。
そして応用行動分析を学ぶ導入としてもたいへん良い本です。

興味を持った方は是非読んでみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました