発達領域における生活活動の種類と療育指導でのポイント

生活・ADL

私たちが社会で生きていく上で
欠かすことのできないものとして、
日常生活活動(ADL)があります。

普段何気なくしている過ごしている日常は、
みなさんがこれまでに身につけた
スキルや習慣の積み重ねが基盤となっており、
これらが無ければ現在の生活は成り立ちません。

このページでは、
そういった日常生活活動(ADL)の中でも
特に発達領域におけるADLに焦点を当て、
どのような種類があるのかを解説すると共に、
療育場面で指導にあたる時はどういった点が
ポイントとなるのかを紹介します。

生活活動の種類について

生活活動には
日常生活活動と生活関連活動(IADL)が含まれており、
以下の4つに分けられます。

1.基本的日常生活活動
2.コミュニケーション日常生活活動
3.手段的日常生活活動
4.地域生活活動

基本的日常生活活動(基本的ADL)

普段の生活には欠かせない
移動と身のまわり活動が含まれます。

移動の例としては、
歩く、階段を昇り降りする、床から起き上がる、椅子に座る
といった主に運動に関するものが挙げられます。

身のまわり活動の例としては、
食事、入浴、顔を洗うといった整容、着替え、トイレ、睡眠
といったものが挙げられます。

コミュニケーション日常生活活動(CADL)

意志の伝達と情報の理解が含まれます。
これらは非言語的な活動も含めて
日常生活では養育者との
相互的なコミュニケーションによって育っていくため、
発達領域のADLの1つとして挙げられます。

CADLの例としては、
言葉や身ぶりで要求する、言われた事を守る
などがあります。

手段的日常生活活動(手段的ADL)

先程の基本的ADLからさらに応用的な活動となります。
屋内活動と屋外活動に分けて考えるとイメージしやすくなります。

発達領域における手段的ADLは、
家庭における子どもの役割に大きく影響されることから、
環境による違いや子どもの体験による個人差が生じます。

屋内活動の例としては、
料理・洗濯・掃除などの家事、部屋の整理整頓、家電の使用など
色々なものが挙げられます。

屋外活動の例としては、
公共交通機関の利用、買い物(金額計算を含む)、旅行など
こちらも多岐にわたります。

地域生活活動

その名の通り、
地域社会で暮らしていく上で出てくる活動全般の事です。

発達領域では
子どもが保育園・幼稚園、小学校、中学、高校、大学と進むにつれて
交友関係が広がるとともに、
その場に合ったふさわしい行動も変化していきます。

また集団で活動する経験の中で、
社会人として組織の中での役割意識などが芽生えていきます。

地域生活活動についても手段的ADLと同様に、
子どもが置かれている環境によって
体験に違いが生じたり個人差が生まれると考えられます。

地域生活活動の例としては、
公共マナー(交通ルールなど)を守る、当番を守る・やり切る、委員会に参加する
などが挙げられます。

ADLを療育指導するポイントについて

基本的ADLの療育指導のポイント

移動および身のまわり活動は
基本的な粗大運動発達・手先の運動発達・知的発達が関係します。

粗大運動は日々身体を動かしたり外遊びをしたりする事で
育っていく側面がありますが、
年齢に比して運動が遅い場合は移動に影響してきます。

身のまわり活動における手先の運動発達は、
スプーンや箸の使用・ボタンやファスナーの開け閉め・トイレットペーパーを手に巻くなど
非常に幅広く影響します。

また、知的な発達が重なる事で
道具の使い方の理解やイメージが作られていきます。

まずは遊びの中で色々な経験を積み、
たくさんの玩具に触れて楽しみましょう。

日々関わっていく中で、

〇年齢に比してジャンプや走ることができない
〇特定の道具の使い方が身につきにくい
〇同じ動作を何度やっても身につかない

このような様子が見られた場合は、
理学療法士や作業療法士に相談してみましょう。

CADLの療育指導のポイント

コミュニケーションに関連する生活活動なので、
社会性・知的発達・言語発達が関連します。

人とのコミュニケーションを苦手とする子どもには難しい面もありますが、
その子がどのように周囲に発信しているのか・物事を理解しているのかを
分析していく事が望ましい対応です。

コミュニケーションというと言葉でのやりとりをイメージしがちですが、
絵カードや身振りを使った方法もあります。
どのようなコミュニケーション方法が適しているのかも含め、
困ったことがあれば
作業療法士や言語聴覚士に相談してみましょう。

手段的ADLの療育指導のポイント

運動・道具の操作・コミュニケーションが土台となりますが、
手段的ADLの学習には環境の影響を強く受けます。

裏を返せば、
経験がなければ学習が積み重ならないADLであるとも言えます。

いきなり1人で全てをこなすのも難しいので、
まずは保護者や療育者が一緒に行動して状況を説明しましょう。
一連の流れが理解できたところで、
工程のどれか1つを子どもに任せてみてください。

その任せる工程が2つ3つと増えていけば
最終的には自分一人で出来るようになっていきます。

地域生活活動の療育指導のポイント

地域生活活動も
子どもの社会性の発達段階に応じて関わっていく事が大切ですし、
子どもの置かれている環境に大きく影響を受けます。

地域生活活動には社会的なルールが関わっていきますので、
子どもにとっては大変なことでも、
守ってもらいたい内容もあるかと思います。

子どもの社会性・知的な育ちを考えながら、
これもまずは大人が一緒に行動して
手本を見せていくところから始めましょう

そこから階段を1段ずつ上っていくようなイメージで
少しずつ子どもが出来る事を任せていきましょう。

自分でやりきったという経験と自信が大切です。

まとめと参考文献

今回は発達領域におけるADLにどのような種類があるのかと、
療育における指導のポイントを簡単にですが紹介しました。

ADLは適切なアセスメントに基づいた指導と
毎日の積み重ねにより成長が見られやすいので、
子どもの成長と同時に療育者が成功を感じやすいのではないかと思われます。

この記事は以下の書籍を参考にしました。
興味のある方は読んでみて下さい。

皆様の日々の療育の参考になれば幸いです。

タイトル:発達障害を持つ子どもと成人、家族のためのADL
     ~作業療法士のための技術の絵本~
  著者:辛島千恵子
 出版社:株式会社 三輪書店

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