療育分野の新人教育を考える 書籍「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の紹介

人材育成

この記事では、私が読んだ本を通して
主に療育の分野における新人教育について考えていきたいと思います。
今回はこちらの書籍を紹介します。

タイトル:AI vs. 教科書が読めない子どもたち
  著者:新井紀子
 発行所:東洋経済新報社

本の概要

この本は、著者が「東ロボくん」と名付けた人工知能(AI)を育て、
東大合格を目指してチャレンジする過程について書かれています。

それと並行して、東ロボくんで学んだ事を活かして
著者は日本人の読解力に関する大規模な調査も実施しています。

そこで分かった事実は、
中高生の読解力が危機的な状況であり、
それは鉛筆を転がしたりコインを投げて正答を決める確率と差がない
という事です。

こうした事実は
今の日本の労働力の質がAIに似ている事を意味しており、
AIの台頭により今後私たちの労働のあり方が大きく変わるだろうと述べています。

感想

この本はある別の本で読むべき本として
紹介されていたので手に取ったというくらいの気持ちで読んでいましたが、
書かれている内容に驚きと感心しきりでした。

私は仕事上、大学生や専門学校生の実習指導を担当します。
その際に直面するのが、
文章を書く・質問に答える・物事の理由を考えるといった事が
苦手な学生が多いという事です。

また、こちらが話した内容が通じておらず、
全く意図していない行動をしている場面も多く出くわします。

こうした原因の一端には、
そもそも文章を理解する・読解する力が落ちているという
事実があるためではないかと考えると、
非常にしっくりとくるなという印象を受けました。

大学や専門学校でこうした基礎的な読解力を鍛えるという機会は
ほぼ無いといってよいでしょう。
読解力は一定のレベルに達している前提で話が進んでいくからです。
つまり、読解力が中高生に満たないレベルのまま
社会人になるケースが増えていると推測されます。

療育の現場では、子どもたちの置かれている環境や特性に応じて
こちらの対応を臨機応変に変えていく必要があり、
それはつまりAIが取って代わるのは不可能という事です。

知識が豊富なだけでは1人1人違う個性の子どもの
目標立てや関わりを考える事は難しいでしょう。

しかしこれからは、
AIに似通った知能の質を持つ新人が増えると予測され、
こうした人たちをどのように教育するか(AIにはできない仕事をしてもらう)
という事を考えなければならないと思います。

AIとは質の異なる人材を育成するためには、
知識をどう使っていくか・なぜ自分はそれをするのか
といった理由を考える機会が必要なのではないかと強く思います。

この機会がなければ、決して思考する力は身につかないからです。

具体的方法については私も試行錯誤中ですが、
本の要約や事例検討で相手に分かりやすく伝える作業が良いのかもしれません。

まとめ

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」は
人材育成を考える上で把握するべき情報が豊富で、
かつ自分の仕事の在り方を考えるきっかけとするにも
非常に良い本だと思います。

興味を持った方は是非お手に取ってみてください。

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