このページでは私が読んだ
日々の療育に活用できるお勧めの本をご紹介します。
今回紹介する本はこちらです。
タイトル:アスペルガー症候群のある子どものための新キャリア教育
編著者:本田秀夫 日戸由刈
出版社:株式会社金子書房
本の概要
この本は、
アスペルガー症候群の人たちの家族や支援者が、
障害を正しく理解して、
確かな見通しを持って、
将来社会に出ていくための準備を
学齢期の段階から進めていくためのガイドブックとなっています。
著者はアスペルガーの人が就労して社会人としてやっていくために必要な事は、
小中学校時代の日々の目先の大変さの延長に必ずしもない事、
この時期にキャリア教育をやっておきたい事を述べています。
ここでいうキャリア教育とは、仕事の実習に限った事ではありません。
自分が将来仕事に就いて
社会の一員として役割を担う大人になるという
ビジョンを持ってもらうことが第一であり、
周囲の人の助けも得ながら目標に向かって必要な力を身につけようと
努力する意欲を育てることこそがキャリア教育だと述べています。
著者は社会である程度上手くやっているアスペルガーの人の特徴として、
1.基本的な生活スキルや対人スキルをある程度身につけていた
2.必要な時にサポートを受ける事で支援者とのつながりを持っていた
3.こうすべきという価値観の押し付けがなかった
4.信頼できる相談相手がいくつかあった
という4点を挙げており、
これらについてを事例に沿って説明しているのがこの著書の特徴です。
感想
先に断っておきますと、
現在アスペルガー症候群という名称は診断では用いられません。
それではこの本の内容は誰にも当てはまらないのかといえばそうではなく、
自閉スペクトラム症や発達障害に置き換えて読み進めても良いかと思います。
もちろん書かれている特徴が合致しない場合もあるかと思いますが、
それでも家族がすべき事やキャリア教育に対する考え方は
全ての方に通じるものだと思います。
この本には価値観の押し付けが
支援を必要とする方にとって悪影響を与える事があると書かれていますが
まさにその通りだなと感じますし、
実際の療育場面でもそれを痛感することがあります。
私自身も「これをした方が良い」「これはしない方が良い」という
話をしてしまう事が多いのですが、
気を付けなければいけないなと改めて感じました。
また、この本には余暇活動が重要であるという内容が書かれていました。
余暇活動がアスペルガー症候群の方々にとって
心休まる「心理的活動拠点」になるという考えに基づいています。
趣味として楽しいと感じる事を増やす
というのも大切な療育的関わりの1つなのだと実感しましたし、
こうした視点からの見方は私にとって弱い部分でした。
日々の療育で意識できていなかった部分なので、
今後取り入れていきたい考え方として参考になりました。
まとめ
著書:アスペルガー症候群のある子どものための新キャリア教育は、
キャリア教育に関する重要な点と余暇の重要性について書かれている
数少ない貴重な本だと言えます。
興味を持たれた方は是非お手に取ってみてください。
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