療育に活かせる本の紹介 「施設職員ABA支援入門-行動障害のある人へのアプローチ」

専門書

このページでは、
私が読んだ療育に役立つ本を紹介します。
今回紹介するのはこちらです。

タイトル:施設職員ABA入門-行動障害のある人へのアプローチ
  著者:村本浄司
 発行所:株式会社 学苑社

本の概要

この本は、
障害福祉の分野で目にする強度行動障害の方に対して、
集団生活場面に携わる施設職員が援助するための方法として
応用行動分析(ABA)を主体に書かれています。

集団場面に関わる施設職員であれば必ずといって良いほど直面する
職員を叩く・わざと困らせる事をして注意を引く・外に飛び出すなどの
行動の問題にどのように対処するのかを、

・そういった行動の背景にはどのようなものが考えられるか
・どのように行動を分析するのか(アセスメント)
・支援方法
・具体的事例集

これらが丁寧に書かれています。

感想

この本は養護者や施設職員向けに書かれたものではありますが、
集団場面で療育を行っている方は誰でも参考になる本です。

強度行動障害の背景には
知的な遅れや自閉スペクトラム症等がある事が多いのですが、
これはまさに
学校や幼稚園・保育園、児童/放課後等デイサービスで
高い頻度で見かけるかと思います。

施設職員、保育士、幼稚園・学校教諭など
みなさん困っている事は対象の方の「行動」の問題であり、
それに対する基本的な考え方や支援方法は
場所によって大きくは変わりません。

この本は行動の問題にどのように対処し、
そして望ましい行動にどのように変えていくのかを知るのに
大変役立ちます。

そして他におすすめしたい点としては、
応用行動分析(ABA)に興味はあるけれど
専門的でとっつきにくいと感じている方が、
最初に読んでみる本としても適していると思います。

応用行動分析では

行動の正/負の強化・弱化
消去バースト
シェイピング

のような日常では聞かない単語が色々と出てきますが、
それぞれの解説や具体例がとても分かりやすいです。

そして私が本書で最も参考になったのは、
応用行動分析で用いるハウツー的な部分ではなく、
行動の問題の背景にはコミュニケーションの問題があり、
問題とされている行動はその方のコミュニケーション(発信)の
役割を果たしていると述べられている点です。

周囲から見ると困った行動と理解されてしまうものでも、
施設利用者や子どもたちは
何とか自分の事を理解してもらおうとして
その行動をしていると考える必要があります。

そして適切なコミュニケーション手段が少ないために
問題となる行動に至っている場合もたくさんあります。

コミュニケーションの受け取り手である支援者も
この視点で子どもたちの事を理解するのが大切だと
改めて強く感じた一文でした。

ちなみに、職場内で応用行動分析の勉強会をした時に
この本を参考にしたと紹介したところ、
さっそく買っている人がいました。
色んな人に伝わりやすい・分かりやすい本だと思っています。

まとめ

施設職員ABA支援入門-行動障害のある人へのアプローチは、
施設職員の他にも集団で療育・支援を行っている方であれば
是非読んでほしい1冊です。
そして応用行動分析を学ぶ導入としてもたいへん良い本です。

興味を持った方は是非読んでみてください。

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